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June 29, 2007
東郷和彦 北方領土交渉秘録―失われた五度の機会
先日、本が好き!というサイトのβ版に登録した。
書評をブログで書く代わりに、出版社からその本が貰えるというサイト。
ほんでポチっとしたので感想を800字以上で書かないといけないのでアップします。
![]() | 東郷 和彦著 発売日:2007.5 出版社:新潮社 価格:\1,890 ISBN:4103047712 |
本書は佐藤優 国家の罠と同じく、あの騒動で外務省から追放された元官僚(当時欧州局長→オランダ大使)の書いた北方領土交渉の本。
でも、佐藤氏の著書の方が読みやすいし、面白く感じる。
それは、本書の解説を書く佐藤氏が、自著を「個人にこだわった視座」、本書を「鳥瞰的視座」と表現しているとおり、やっぱり視点の違い(インテリジェント・オフィサーと省幹部との視点との違い?)なんだろう。
本書は中盤の殆どが北方領土交渉がどんな経緯をたどってきたのかをなぞっていくことにあてられているためか、外交をよく知らないでふつーに読み始めると中だるみする。
・・・というか、実際、中だるみした ( ゜∋゜)
読者が途中で退屈と感じるのではないかという点は佐藤氏も危惧してて、前提知識のない読者が中だるみしないように巻末の解説で色々と書いてるので、本書をこれから読む人はまず解説を読んだほうがいいと思われ。
本書の佳境である(プーチン現大統領の政界登場以後のロシアとの外交が描かれている)10〜13章は一番アツく、ここから最後までは歴史としての北方領土交渉の経緯というより、東郷氏の北方領土交渉に対する思いと、一連の事件によって交渉の枠組み自体が完全に壊れてしまったことに対する無念さが込められている。
勢い、読んでいるこちらとしてもページをめくる手が止まらなくなる。
この終盤の章で、プーチン政権との交渉経緯を通して、(東郷氏が考えるところの)今後とるべきロシア外交のスタンスが集中的に著されており、その説得力には圧倒される。
新聞紙上にも対ロ北方領土交渉について、いろいろな議論が載るけれども、現実を見据えつつ、領土問題をいかに解決していくかという点において、本書の説得力に比肩するものはほとんどないように思う。
だけど、結局、あの一連の騒動が一体何だったのかは、本書を読んでもいまいち分からない。
佐藤氏の既刊のように、時代のけじめだと言うのも納得しがたい。
質問趣意書の絨毯爆撃はあいかわらずだけど、騒動が一応沈静化して追放された立場の人たちが説明をはじめた今こそ、逆の立場の人たちの主張を、本人の筆から知る機会も欲しいと思う(知らないだけで、もうどっかにあるのかな?)。
一方の側からだけではよくわからない。
返還についての政策論の違いが原因ならまだしも、仮に「組織の中の意見を集約するのに外の力を使ったから」とかが原因で国の主権に関わる領土交渉が崩壊したんだとしたら(そういう行為がすごく大きな反発と摩擦を生むのは当然だと思うけど)、それはアホらし過ぎるような・・・。
あの当時、二島返還、四島返還(二島先行返還)、四島一括返還の間の違いというのは、よく理解されないままに、お祭りはどんどんでかくなっていった。
対ソ・対露交渉で「『あなたがAしないかぎり私はBしない。』という条件闘争では、交渉のテーブルにつかせることすら難しく、『私Bしますから、あなたもAしてください。一緒に解決していきましょう。』というのが入り口だ」という主張も、おそらくは理解されないままだった。
・・・というか、とりあえず自分は知らんかった。
これらのことが多くの国民に理解されていれば、もしかしたら、国民の感情的反感とマスコミの報道合戦との不毛な相乗効果なかったかもしれない。
あんな大騒動にはならず、領土交渉は崩壊することなくは順調に進んでいたのかもしれない。
そういう意味で、外交に限らず、行政は政策決定についての情報をもっとずっと積極的に発信していくべきだと感じる。
研究会・審議会の議事や関係資料をネットにポッとのせるだけ、国会質問の回答に反映させるだけ、マスコミ向けにブリーフするだけ、パブコメ手続き踏むだけじゃとても足りない(←とはいっても、これらの業務は結構な業務量で普通に大変なんだけれども)。
行政の意図がよく理解されない(理解してもらおうと努力しない?)ままに、一部だけ変にとりあげられてネットで叩かれてたら、モチベーションも下がるし。
ネットがまだのどかだったころには、政府機関の職員が業務時間中に実名で掲示板上で政策議論を投稿してたなんてこともあったとかなかったとかというのをどっかで読んだ気がする。
そこまではいかなくても、何らかの手段で直接的に対話していくのって必要だ(そういう発想で始まったであろうタウンミーティングはあんなことになってしまったし、実際にどういう手段でやれば現状のキャパでそんなことが出来るのかは思いつかないのだけれども。)。
とりあえず新着情報をフィード配信するくらいのことは最低限やらないといかんのではないか。
というかフツーに不便だからフィード配信しましょうよ、各省の担当官様。
![]() | 東郷 和彦著 発売日:2007.5 出版社:新潮社 価格:\1,890 ISBN:4103047712 |
- 東郷 和彦
- 新潮社
- 1890円
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書評/ルポルタージュ

Posted by rover : June 29, 2007 12:51 AM

